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ぼくんち―スピリッツとりあたまコミックス (3)ぼくんち―スピリッツとりあたまコミックス (3)
西原 理恵子
小学館 刊
発売日 1998-02




きっと現実
けして楽しい物語ではない。
子供はそのおかれた現実を理解できていたり、できていなかったりする。
できた一太は己を暴力と猥雑の中に自らを飛び込ませる。
できない幼い二太は見る。
ただ、見る。
暴力と汚辱の中に自ら飛び込んでいった兄を見、
もとよりないものであるはずの母を慕い、その代替としての姉を心より慕う。
かのこの目は彼女のその美しさとは裏腹に、
綺麗なものを見たことがまるでない。
愚かな母を見続け、どうしようもない仕事にその体を浸すしか術を持たない。
おいしいごはん。
それが彼女への、たったひとつの許しですらある。
こういちくんはきれいなものが見たいと言う本当の心を
いちばん大切な人の死によって知らされるはめになる。
お父ちゃんに死んでほしい女の子。お母ちゃんが死んでも商売は止まらんので、列車を走らせる家族。
生まれてから一度もきれいなものを見たことのないおっさん。
何も持っていないから、何もかもがなくなっても誰にも文句が言えない奴。
誰ひとりとして、この物語の中では救ってもらえない。
誰ひとりとして、救ってもらえるような奴なんかいない。
だけど子供は、笑うのだ。
そして言うのだ。
「こういう時には、笑うんやろ」

際限なく優しい人々
 不器用で、うまく生きられなくて、かっこわるくて、力もなくて。だから、どえらい貧乏で、どん底で、希望のカケラさえ持たない人たち。ないないづくしの人生をぎこちなく生きている。
 そんな人たちにサイバラは殴りながら言うのだ、「泣いて腹がふくれるかぁ!」「泣いてる暇あったら笑え!」と。
 なんちゅう世界でしょうか。サイバラの世界にタテマエなんて存在しません。あるのは、めっちゃキツイけど、まっすぐ前見て自分の人生笑ったれ!という喝のみ。これはきっと、サイバラのホンネ
 もしも人生崖っぷち、断崖に立ってその底を為す術もなく眺めていたら、きっとサイバラが無言で現れて、ガッと髪をひっつかみ、一緒に底まで落ちていってくれる。サイバラの漫画にはそういう優しさがある。崖の上からロープたらして救出なんていう偽善は、サイバラにはないんだから。

西原最高傑作
人間生きていく上で、よかれと思ってすることが悲しいこととイコールになることがある。
姉ちゃんは二太によかれと思い、別れを決意するがやはり別れは悲しい。
そして迎えにきたじっちゃんに二太は島を離れながら言う。
「ぼく知ってるで。こういう時は笑うんや。」
ああだめだ。こう書いているだけで泣けてくる。
コーイチくんの姉さんが死んだ時も泣いたがこの最終回もだめだ。
頭に浮かぶだけで涙目になる。
人生かなり長く生きてきた中で5本の指に入る泣かせる作品。
しかもお涙ちょうだいものでは全然ないところがすごい。
この人の作品はお笑いモノ系情緒モノ系に分かれるのだが、この作品は
両者がほどよくブレンドされた上に化学反応を起こし、とてつもない傑作となった。
でも言葉ではうまくこの涙が説明できない。読んでいただくしかない。
必ず全巻必読

これはいいです
無条件に泣けてしまう漫画、というのが私にはあるんですが
これはまさにあてはまりました
読んだ後にとてもじーんときます。
生きてることってこんなにも温かいんだなぁと思えました。
登場人物が皆そろいも揃って曲者なんだけれど、
人間って捨てたものじゃない!って思える人々で良かったです。
何かにすさんだなぁ、と思ったら是非!

生きていくこと
全3巻、かなり泣いた。実際、涙が零れて染みになってしまった
部分のページも数カ所ある。
マンガで泣く、よくある事である。
しかし、ここまで号泣したマンガは初めてだ。
登場人物は皆、我の姿、素行を写し出しているようだ。だけど、ここではそれらを全く「否認」しない。むしろ、「こうして生きてて何が悪いんだい?」と物語は私に諭す。この本をどのように捉えるかは各々の感じ方によりけりとしても、個人的読後感として、誰ひとりとして認めるどころか、責められてばかりの自分を、言い方が悪いが、このようなマンガ、が認めてくれた。自分は生きていてもいいんだ、生きるだけでいいんだ。
実際、登場するキャラは、皆、前を向いている。落ちぶれていようが、死を選ぶ者はいない
生きる事で精一杯でありながらも、決して届かないと知りつつ少しでも安らぎや
ゆとり、所謂幸せに近づきたい為なのか、笑顔を忘れない登場キャラが人生の重みを明るく語っている一冊。


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