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MASTERキートン (3)MASTERキートン (3)
勝鹿 北星 /浦沢 直樹
小学館 刊
発売日 1989-07
価格:¥509(税込)
オススメ度:★★★★★




このロマンはなんだろう
浦沢作品は『パイナップル・アーミー』や『マスターキートン』など、読み切りタイプが好きだ。職人的に物語りを進行処理していく腕前にも惚れぼれするし、一話完結の安定感はお腹にもたれず毎日でもたべられる。ところで、こういうジャンルはなんていうんだろうか。冒険活劇? オプが主人公だから、一種の探偵物? むずかしい。 
 大雑把にいって、ロマンという感じがする。ロマンといって何を意味するかというと、キャラの特徴がつかみやすいという感じだろうか。登場人物が物語りに要請される通りに動く感じだ。そんな物語をロマン的物語といいたい。
 『マスターキートン 第三巻』で、たとえば「小さな巨人」。これはキートンという主人公と、ピトックというニセ主人公の話だ。(起)主人公とニセ主人公はローザという女性を巡って競合関係にある。(承)敵対者である「首吊り判事」が紹介される。(転)主人公とニセ主人公が敵対者を相手に共闘するも、女性の救出は主人公の力による。(結)主人公の正体が明らかになり、その主人公性が証明される。
 プロップ『昔話の形態学』を持ち出さずとも、明快な物語である。登場人物の特徴は物語の構成要素として、単一的な特徴で捉えることができる。主人公が抱く欲望(女性を救出したい)は明確に描かれ、登場人物の物語的な線は少なく、シンプルだ。
 現実に存在する賞金稼ぎという題材、あるいは尾行術や銃やテロ鎮圧法の知識などにより、この作品をリアルだという人がいるかもしれない。だが、まったくリアルでない。この作品にとってその種の知識は物語骨格の肉付け以上のものではない。最終コマで紹介されるの悪魔の詩の作者に賭けられた賞金のエピソードにいたっては、物語内容にまったく関わりがない。同様の点で、島耕作シリーズも美味しんぼも、ギャラリーフェイクもリアルでない(どれも面白い。だから非難してるわけじゃない)。また、ここでありうべき誤解を避けるなら「考古学者で元SASの猛者でオプをやっている心優しい男なんて、現実にいない」という批判は些末であり、ここでのリアル批判と別である。
 では、リアルでないということがこの作品の疵になっているだろうか。否。リアルでないということによって、作品はユートピア的になっている。グローバリズムにとってマック・ハンバーガーの世界がある意味でイデオロギー的であると同時にユートピア的ならば、同様にそうなのだ。これは非難ではない。知るべきことはイデオロギーでなく、それなくしては生きられないという構造である。誰も、この外に立つことはできない。イデオロギーはユートピア的であり、それによってみんな生きている。

漫画かそうでないかを抜きに楽しめます
ストーリーを考える人と漫画を描く人が別担当なのが大きく成功していると思います。ストーリー展開やそのプロッティングは短編小説を読んでいるかのよう。漫画かそうでないかを抜きに楽しめます。日英のハーフで、考古学者にして保険調査員キートン・太一が主人公。ユーモアがあってクールなんだけどクールになりきれない主人公やその他の端役も魅力的な個性を持っていて楽しい。

それは人間の使命だから
表紙に英語で書かれたなによりも適切な解説である、この本を紹介を最初に(あい なおこ意訳)。「父は日本人、母は英国人。
古代ドナウ川文明を夢見る考古学者。
古代武器の知識に通じた調査員。
やさしい心と強い意志を持つ男。
この謎に包まれた男の活躍を描く、第3巻である。」古代武器に通じるキートンを描いたのは「黒い森」ドイツの雇用事情とトルコ移民の問題がベースで、現在もドイツはこの問題を抱えています。欧米が抱える問題には、テロの続発や凶悪犯の急増があります。政府当局は犯罪者に高額の賞金をかけるほどです。そのあるケースを描いた「小さな巨人」。太一の父、太平が美人な人妻から飼い犬を探してほしいという依頼をうけた顛末「すべての人に花束を」。ラザーニェが嫌いな女の子とキートンが逃避行、「ラザーニェ奇譚」。「父」から貰ったコレッジリングを取り戻してほしい。不思議な女キャシーの心を埋めるのは・・・「赤の女」楽しい人生、すばらしい人生とは何か考えさせられる「アレクセイエフからの伝言」。そしてキートンの人生は、いろいろあっても、あくまで楽しい。大学時代の級友と「昼下がりの大冒険」。この巻には「マスターキートン」全巻を通して私の一押しがあります。「屋根の下の巴里」。学生時代に迷ったわたしに、そして今のわたしにも勇気をくれた大傑作です。


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